言葉の意味を家づくりの参考に
住まいの意味とは何なのでしょうか?
「住まい」と聞くと、暮らしていく家をただ想像するかもしれませんが、古代の人が考えた言葉の意味がしっかりとあるのです。
住まいの「す」は歯音と言い、歯や歯茎と舌との間で調整される音です。
例えば「す」のつく木、「杉の木」は昔から神社に多く植えられています。
鳥が子供を育てていく為に無くてはならない「鳥の巣」にも「す」の言葉があります。
昔の人は「す」という音に神や生きているもののルーツをみていたのかもしれません。
その他にも、住まいは神聖な空間と言えます。
なぜなら、家を建てる際に行われる地鎮祭や上棟祭は神に一緒に暮らしていく事をお願いする儀式でもあるのです。
なので、住まいとは神に家族の健康を感謝すると共に、家族みんなで喧嘩もせずに仲良く暮らしていく空間を作り出すという事なのです。
台所の意味とは?
最近は「キッチン」といわれる事が多い「台所」は台盤所の略です。
煮たり焼いたり調理をする空間で、平安時代頃から使われています。
台所の「台」の原字は「怡」(イ)といいます。
立心偏が使われており、「台」は形声文字で口を開けて喜んでいる意味です。
なので、台所は「口を開けて心から喜ぶ場所」という意味にもなるのです。
便所の意味とはなんでしょうか?
最近では「トイレ」と呼ばれる事の方が多いですが、古くから日本では「便所」と呼ばれてきました。
「便」とは、やすらか・くつろぐ・休むといった意味がある事はご存知ですが?
「便所」と聞くとなぜか汚らしい場所と感じてしまう人が多く、あまり使われなくなってしまいましたが、かつての日本人は便所の事を不浄さが消え去る思いを感じる事が出来る「御不浄」などと呼んでいた事もあったのです。
50年ほど前の家では、廊下の途中に中庭があり、その一部に便所がありくつろげるスペースだったことがわかります。
最近の住宅で見られるトイレに関しても、広さなどが考慮してあり安らげ衛生的でゆとりがある為、本来の便所に近づいてきたと言えるでしょう。
それぞれの言葉の意味を考えると、そのスペースのあり方などを知ることができ、プランニングの参考にもなるでしょう。