開口部のガラスは住まい心地を左右する?
開口部の位置は、建物全体の見た目を大きく左右したりしますが、実際は窓の大きさを同じにして統一感を出すなどといったことは重視されていない傾向にあります。
ですが、やはり開口部はそれぞれしっかりと目的をはっきりさせることで住み心地が変わってきます。
特に開口部の方向と、どのガラスを選ぶかが重要なポイントです。
日本の住宅の開口部性能で最も難点といっていいのが、夏と冬の温熱対策です。
多くの日本住まいの窓ガラスに複層ガラスが採用されていますが、全窓が同じで東西南北にそれぞれ適したガラスの使い分けはあまりされていません。
これによって夏は日射熱が入りやすく、冬は結露が発生しやすくなるという問題が生じてしまいます。
敷地条件を確認し、状況に適した開口部の大きさとガラスの使い分けを行うことで夏と冬の対策を行った方が良いでしょう。
住宅の間取りを検討する時、一番気になる点は日当たりの確保とリビングの位置ではないでしょうか。
日当たりが良いと熱もたくさん入ってきます。
北側はトイレや洗面所、浴室などが並んで、冬は北側の風の影響で温度差を生じ結果、結露を発生させてしまうことになります。
外部から家の中に入ろうとする熱を遮断するのを遮熱、冬場に温めた室内の熱を外部に伝わらないようにすることを断熱といいます。
遮熱と断熱は、複層ガラスの間の外側と内側のどちらに金属膜を貼るかによって使い分けが可能です。
この特殊ガラスのことをLow-Eガラスといい、低放射という意味を持っています。
一般的ガラスが放射率0.85なのに対し、Low-Eガラスは1枚あたりのガラスで0.1以下なのです。
この数字がより低いほど、赤外線を反射して熱を通しません。
したがって、このガラスは断熱性が高いものになります。
つまりこういうことになります。
・普通ガラスはおよそ71%の熱が窓から入るので、それを防ぐには遮熱タイプのガラスが効果的です。
・普通ガラスはおよそ48%の熱が窓から逃げるので、断熱タイプのガラスが効果的です。
開口部ガラスの全窓を一律にする必要はありません。
採光条件に応じて使い分けされることをおすすめします。
Low-Eガラスは一般ガラスと比べると少々値段が高めですが、要所要所で使えばコストコントロールも可能です。